【郵便不正事件】国会議員が事務所から厚労省に電話 凛の会メンバーの目前で
2009.6.16 14:34 産経新聞
障害者団体向け割引郵便制度の悪用をめぐる虚偽有印公文書作成事件で、「凛(りん)の会」の障害者団体証明書の発行について、同会主要メンバーの倉沢邦夫容疑者(73)が大阪地検特捜部の調べに対し、「民主党国会議員の事務所から目の前で厚生労働省の幹部に電話をかけてもらった」と供述していることが16日、関係者への取材で分かった。倉沢容疑者はこの議員の元秘書で、議員の“威光”を利用して証明書を得ようとしたとみられる。
特捜部は16日、任意の聴取でこの議員から電話を受け、当時、障害保健福祉部企画課長だった雇用均等・児童家庭局長、村木厚子容疑者(53)=同日、大臣官房付に異動=に対応を指示したと証言している元同部長(退職)の東京都江戸川区の自宅を捜索した。一連の容疑を裏付けるのが目的とみられる。
産経新聞の取材にこの議員の事務所は「そのような事実はなく、倉沢容疑者が陳情のために事務所に来たこともない」と全面的に否定している。
関係者によると、倉沢容疑者らは平成15年10月に凛の会を立ち上げ、16年2月に厚労省から障害者団体証明書を得るため、この国会議員に厚労省への口利きを依頼したという。
当日は、倉沢容疑者と元メンバーの2人が議員会館の事務所を訪問。議員と向かい合ってソファに座り、「凛の会という障害者団体を立ち上げたので厚労省の認可がほしい」と持ちかけた。議員は面識があった元部長にその場で電話し、「凛の会という団体が証明書の申請に行くのでよろしく頼む。担当者の名前を教えてくれ」と依頼したという。
その後、倉沢容疑者は議員を通じて村木容疑者が担当と知り、厚労省を訪問。その後も複数回にわたって面会し、証明書の発行を催促していたとみられる。
倉沢容疑者が秘書を務めた「この議員」というのは、民主党の石井一参院議員のことです。(1)同容疑者が、郵便割引制度の適用団体に認可申請した際に、石井氏の事務所関係者を名乗っていたといいます(2)から、石井議員は積極的に関与したのではないか、と思われます。
石井議員側は「倉沢容疑者が陳情のために事務所に来たこともない」などと全面的に否認していますが、聞き苦しい言い訳をしていると感じるのは私だけではないでしょう。
少なくとも、「知らぬ存ぜぬ」では誠実さに欠くというものです。
さて、石井議員のほかに民主党の牧義夫議員の関与も指摘されています。「民主党の牧義夫衆院議員が、日本郵政公社(当時)の関東支社に違法DMが発送できるよう働きかけたり、国会で質問したりし、24万円の献金を受けてい」(1)たと報じられています。
ちなみに、当初は不正なDMの発送を日本郵政公社に断られていたそうですが、同会が牧氏側に陳情すると、「牧氏の秘書が同公社に問い合わせし、そのころ、発送が実現した」(2)といいます。
これが事実ならば、牧義夫議員側が郵便不正事件に積極的な関与をしたということを明らかにしているといえるでしょう。
牧議員の国会質問というのは、白山会のライバル団体を批判するものでした。以下抜粋します。
これは三通サンプルがございます。皆様にはこの席からごらんいただくしかないんですけれども、一番外側が、これは封筒です、封筒を切ったものですね。中をあけると、差出人は、三つともそれぞれ違うんですけれども、社会福祉支援団体となっております。あくまでも建前は、障害者の皆さんを支援する、そのための機関紙を郵送するという建前になっております。
これが本紙ですね。これと全く同じ大きさのものが中に入っておりますから、同じ大きさでともに見開き四ページなので、これで広告のスペースが五〇%以下ということです。こっちが本紙で、こっちが広告です。この広告の中身は、私もちょっと恥ずかしくて申し上げにくいような中身になっております。いわゆるアダルトグッズというんですかね、余り議事録には残したくないんですけれども、こういったものが入っている。男性向けのものと女性向けのものが入っている。
さらに、封筒そのものは規制外なので、封筒の中にも、封筒を切ってあけると、中にもこのような広告が入っているわけですね。これはすべて通信販売の広告です。中には、水晶玉みたいなのもあって、どこかに入っていました、この水晶玉を家に置いておくと間違いなく一億円から三億円たまるということが書いてございます。
社会福祉の名をかりてこういう商売も横行しているのかなと思うんですけれども、厚労省はこの実態について御存じですか。
・・・
こういったものが全く身に覚えがないのに届いた、日本郵政株式会社にどういうことですかと質問状を送ったけれども、それに対して何の回答もないという手紙も私は持っております。時間の都合できょうは割愛をしますけれども、つまりは、障害者団体にかかわりを持っていない、全く関係ない人のところにこういうものが届いているという実態がございます。
・・・
日本の郵便の採算ラインが、一通幾らで出せば採算ラインなのかはきょうは聞きませんけれども、いずれにしても、一通八円で送ったらこれは赤字に決まっていますよね、こんなことばかりやって。
・・・
一億二千万通、これは低料で出ているんですよ。きちっとしたものの内訳はわかりませんけれども、これはちゃんと調査してくださいよ。郵政が民営化されて、一体何をやっているんだという話ですよ。株主は形式的には財務大臣かもしれないけれども、国民が株主みたいなものでしょう。
今の話で、では、逸失利益はどれだけあるんだと株主総会で言われたら、何と答えるんですか。本題とは話がそれましたけれども、そこら辺のところは、結局、悪徳商法の温床になっているということを、時間がないのでこれ以上言いませんけれども、きょうは指摘をさせていただいて、それは総務省も含めてきちっと検討してください。厚労省にも責任はあると私は思います。そこら辺のところをきちっとやってください。(3)
以上が牧義夫代議士の素晴らしい名演説であります(失笑)。牧議員が指摘した内容こそ、白山会(旧・凛の会)の郵便不正割引事件の概要といえますが、この問題点を1年前から指摘していた牧議員が関与していたとは、一体どういうことでしょうか。
しかも、「郵政が民営化されて、一体何をやっているんだ」「逸失利益はどれだけあるんだと株主総会で言われたら、何と答えるんですか」「結局、悪徳商法の温床になっている」「厚労省にも責任はあると私は思います」などと息巻いていたご当人がです。
それとも、アダルト広告じゃなかったら良いとでも仰るのでしょうか(笑)。
冗談はさておき、白山会のライバル団体と厚労省の責任云々などと批判する内容ですが、裏では白山会のために口利きをしていたということでは、白山会のための国会質問そのものです。
どこかの民主党がマルチ擁護の国会質問をしたことが思い出されます。
事件の背景には、障害者自立支援法の成立をめぐる国会(野党)対策があったようですが(4)、まさに障害者を食い物にした不正事件といえるでしょう。
このような悪質な事件の追及は徹底的になされなければなりません。関与が取りざたされている民主党の議員の名前を共産党と公明党の機関紙は載せていましたが、一般紙は載せていません。選挙直前という政治状況に配慮したのか、西松問題での民主党の対応に恐れをなしたのかは不明ですが、真実を明らかにしていくことがマスコミにも捜査当局にも求められていると思います。
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引用・注
(1)2009年6月16日(火)「しんぶん赤旗」
(2)公明新聞:2009年6月8日
(3)第169回国会 経済産業委員会 第16号(平成20年5月23日(金曜日))
(4)2009年6月16日14時40分 読売新聞
追記
(1)(2)を引用することは不本意ではありましたが、参考になることは事実なので引用しました。