2008年12月25日

今こそ核武装を論じる好機

【外交文書公開】核武装を「カード」にした佐藤首相の瀬戸際政策 産経新聞2008.12.22 00:52
 今回明らかになった外交文書は、佐藤栄作首相が「瀬戸際政策」を貫ける、わが国では希有(けう)な政治指導者であったことを、あらためて印象付けた。
 この瀬戸際政策の背景にあるのは、マクナマラ国防長官との会談3カ月前に成功した中国の核実験だが、これを機に米側に生じた「日本の核武装」への疑念を、佐藤氏は外交の切り札に利用した。佐藤氏が核武装を否定(私的には肯定)してもなお、米側は疑念を解かない。だからこそ、佐藤氏は、マクナマラ国防長官との会談前日のジョンソン大統領との会談で「核の傘」の保証を要請し、大統領に応じさせた。
 そして佐藤氏は、マクナマラ氏との会談で、たとえ通常兵器であっても、中国の日本に対する軍事行動には、「日本」ではなく、米国の核兵器で即時報復する方針を求めた。これは米側の懸念を逆手に取ったものだ。米戦略が明言されれば、これを中国側に認識させ、中国の侵攻を抑止することができるという計算が背景にある。
 実は、後の沖縄返還(1972年)に至る過程でも、佐藤氏は「核武装」を利用した。「核抜き・本土並み返還」を国民に約束する一方、米軍が沖縄を撤退すれば日本が核武装する雰囲気を醸成した。その結果、米軍基地・艦艇への「核持ち込み」と「核武装」は取引され、67年に佐藤氏が公表した「非核三原則」へとつながっていく。65年の段階で、マクナマラ氏に核持ち込み黙認を示唆したことは、その伏線であったといえよう。 
 「非核三原則」は、核兵器の「製造・保有・持ち込み」の禁止であった。その一つ「持ち込み」は積極的に黙認してきた。「非核」に加えて専守防衛という制約下では、他に国を守りようがないからだ。
 一方で「製造・保有」は佐藤内閣時代、関係組織で極秘裏に検討しており「はったり」ではなかったが故に、米国の譲歩を引き出すことに成功した。
 佐藤氏は「核武装論者」に限りなく近い「核の傘論者」であったのだ。
 核を「議論せず」を加えた「非核四原則」で、国は守れないことの歴史的証明である。(野口裕之)

 「非核三原則」と聞けば、日本は国として核を保有しないという宣言、というのが大方の認識というふうに思います。
 
 さて、非核三原則は、巧妙にそして専守防衛という憲法の制約下で国を守るために、国防上の駆け引きの産物として生まれたものでした。
 当然ながら、国益のために行動するのが政治家でありますから、佐藤元首相の行動は肯定されてしかるべきでしょう。

 中共が核実験を成功させるという、我が国の国防を脅かす事象に対応するためには、やはり日本も核武装が必要である、当然ながら検討に値する考えです。
 しかしながら、米国は懸念を抱いているという状況である。そこで、米国の「核の傘」に入り、米国が有事の日本を守るという確約を引き出し、その条件として日本の「核武装」を利用し、「非核三原則」は出されたのでした。
 もっとも、「持ち込み」は積極的に黙認しましたが、非核」に加えて専守防衛という制約下では、他に国を守りようがないそのための方便であったといえます。
 国益を守ることとその当時の風潮をうまく忖度した場合、目的は手段を正当化することもあると私は思います。

 二枚舌という批判は軽薄で皮相な見解です。

 2年前、読者諸賢は覚えておられると思いますが、中川昭一自民党政調会長(当時)と、麻生太郎外務大臣(当時)が、日本の核武装論議を場合によっては必要であるとの見解を示し、バッシングを受けました。
 この「議論せず」を加えたものが「非核四原則」ですが、「核」と聞いただけで情緒的にアレルギーを起こすことは佐藤元首相が唱えた「非核三原則」の精神に反するものです。

 もともと、日本が「核武装」をしないという条件で、米国の「核の傘」という”実”をとったのですから、必要とあらば「核武装」を検討するという柔軟性を持つことは、佐藤元首相の「非核三原則」の精神をしっかりと受け継ぐということと矛盾しないわけです。

 外務省は核武装を行わないと宣言することに否定的な見解を示していました。(注)
 「安全保障の確保という至上の外交目標の遂行に当たり、あらかじめ柔軟性を失うという結果は避けるべきだ」との見解ですが、現実に「非核三原則」は誤解され当初の意図するところから大きく外れたのではないかと思われます。2年前の「議論せず」の「非核四原則」問題はこの弊害の代表的な例であると言えます。

 「非核三原則」の意図するところは、核と関わらないことではなく、上手に核と付き合うということです。
 外務省が22日に公開した文書でそれがはっきりしたのですから、思い切って、国益を踏まえた上で新たな核武装論議を活発に進めたらよいと思います。


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注:【外交文書公開】核非武装宣言は「柔軟性失う」 外務省が否定的見解(産経新聞2008年12月22日 00:34)
 1959(昭和34)年2月に外務省は「安全保障の確保という至上の外交目標の遂行に当たり、あらかじめ柔軟性を失うという結果は避けるべきだ」と否定的な見解をまとめていました。
 「核非武装宣言の可否について」は、「核非武装を一方的に宣言することの効果を分析。「周辺諸国が核兵器を保有しないとか、核兵器で攻撃を行わない何らの保証を伴わない」と、安全保障上の寄与は少ないと指摘。さらに、国際的な緊張緩和の面でも「単なるスタンドプレーとして顰蹙(ひんしゆく)を買うのみ。軍縮の進展に大きく寄与するとは考えられない」と断じた。








posted by つるり at 14:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 国防・外交 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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